AI時代に育てたい、子どもの「自分で選び取る力」 ーー覚える力ではなく、自分で考え、試して、選ぶ力。
「ひらがなを早く書けるようになりました」 「数字を3桁まで読めます」 「英単語を100個覚えました」
幼児教育の場でよく聞く、こうした成果。 お子さまの成長を実感できる、嬉しい瞬間ですよね。
でも、ふと立ち止まって考えてみたいことがあります。 これらの力は、お子さまが大人になる15年後・20年後にも、同じ価値を持っているのでしょうか。
求められる力は、確実に変わってきている
OECD(経済協力開発機構)は、2030年に向けた教育の枠組みとして「Education 2030」を提唱しています。
OECDが示す、これからの子どもに必要な力
- 新しい価値を創造する力
- 対立やジレンマに対処する力
- 責任ある行動をとる力
つまり、「正解を覚える力」ではなく、「答えのない問いに向き合う力」が、次世代の中心的な能力として位置づけられているのです。
参考:OECD「Future of Education and Skills 2030」/文部科学省「Society 5.0に向けた人材育成」
経済産業省も、同じ方向の政策を打ち出しています。 2022年に発表された「未来人材ビジョン」では、2050年に向けて求められる能力として
- 問題発見力
- 的確な予測
- 革新性
の3つを最重要として挙げています。
覚える力・正確に書く力・速く計算する力ーー これらは、リストの上位には入っていません。
参考:経済産業省「未来人材ビジョン」(2022年)
AIの進化が、それを加速させた
そして近年、AIの進化が、この変化を加速させています。
AIが瞬時に行うようになったこと
- 文章を書くこと
- 計算をすること
- 情報を覚えること
- 正解を導き出すこと
- 外国語を翻訳すること
つまり、覚えるタイプの知識の価値は、私たちが思っている以上に、ほぼゼロに近づいているのです。
ハーバード大学の心理学者ハワード・ガードナーも、「これからの時代、知識量は強みではなくなる。知識をどう統合し、どう適用するかが問われる」と指摘しています。
早期教育の効果は、長期では消える
「でも、ひらがなや数字を早く覚えれば、有利になるのでは?」 そう思われる方も多いと思います。
でも、教育心理学の研究では、 早期に詰め込まれた知識的なスキルは、小学校高学年までに、ほとんどの子どもの差が消えていく、という結果がくり返し報告されています。
一方で、幼少期に「自分で考え、選び、試す経験」を積んだ子どもは、中学・高校・大人になっても、その力が継続して伸びていくという研究結果が、複数の長期追跡調査で示されています。
ノーベル経済学賞を受賞したジェームズ・ヘックマンの研究では、幼少期に「非認知能力」(やり抜く力・自己肯定感・社会性)を育てた子どもは、その後の学歴・収入・健康状態のすべてにおいて、長期的に優位性を保つことが示されました。
参考:James J. Heckman「The Economics of Inequality: The Value of Early Childhood Education」
では、これからの時代に必要な力とは?

国際機関、政府、研究者ーーいずれもが指摘する、これからの時代に必要な力。 私たちは、それを以下の3つだと整理しています。
- 知識を活かし、組み合わせる力
- 自分で課題を見つけ、新たな価値を届ける力
- 自分がぶつかった課題に対して、仮説を立てて、実行して、解決する力
これらすべての出発点にあるのが、「自分で選び取る力」です。
ゆうすい保育園が、ずっと模索してきたこと

私たちゆうすい保育園は、時代が変わっていく中で、保育もまた変わるべきだと考えてきました。
「みんなで同じことを、同じ時間に、同じやり方で」 ーーこれは、20世紀の工業化社会において、規律ある労働者を育てるための教育のかたちでした。
その時代には、確かに合理性がありました。 言われたことを正確に、効率よくこなせる人材が、社会に求められたからです。
でも、いまは違います。 AIが「正確に・効率よく」を担う時代において、人間に求められるのは、「自分で考え、自分で選び、自分で行動する」ことです。
私たちは、保育園にいるあいだから、その力を育てたいと考えてきました。
「自分で選ぶ」を、保育園から始める
「自分で選び取る力」は、いつから育つのでしょうか。
それは、ものすごく早い時期からです。
- 0歳でも、何をして遊ぶかを選んでいます。
- 1歳でも、絵本を選んでいます。
- 2歳でも、お友だちを選んでいます。
幼少期に「自分で選ぶ経験」を、どれだけ重ねられるか。 それが、その後の人生で「選び取る力」の土台になります。
逆に、「みんなで同じことを、同じ時間に」と指示され続けて育つと、「自分で選ぶ」という意識そのものが、育ちにくくなります。
ゆうすい保育園の保育のかたち

私たちは、子どもが「いま、何をしたい?」を選べる時間を、保育の中心に据えるために日々取り組んでいます。
- 「製作で遊ぶ?」
- 「絵本を読む?」
- 「おもちゃでブロックを組み立てる?」
- 「外で走り回る?」
子どもが選んで、夢中になる。 うまくいかなければ、別のものを選ぶ。 何度でもやり直せる。 そんな日々のくり返しが、自分で選び取る力を育てます。
これは一朝一夕に整えた保育ではありません。 時代の変化を見ながら、保育士たちや研究者、保護者とも議論を重ね、試行錯誤しながら、形にしてきたものです。 誰もまだ正解を出していない保育、教育の分野で新たな取り組みと改善を繰り返してきました。
自由 ≠ 放任
「自分で選ぶ保育」と聞くと、「ただの放任では?」と思う方もいるかもしれません。 そうではありません。
私たちは、子どもが「選びやすい環境」を意識的に整えています。
- 選択肢を、子どもの目線で並べる
- 集中できる空間を区切る
- 危険のないものだけを選択肢に置く
- 選んだあとの「困った」に、寄り添う
「自由保育」と「放任保育」は、似ているようで全く違います。 前者は、徹底的に環境を整えた上で、子どもに選ばせる保育。 後者は、ただ何もしない保育。 私たちが目指しているのは、もちろん前者です。
「楽しい場所」であることが、すべての出発点
ゆうすい保育園の保育観のいちばん根っこにあるのは、 「保育園を、子どもにとって楽しい場所にしたい」ということです。
「楽しくないから行きたくない」がなくなる場所。 子どもが朝、「いってきます!」と笑って出てくれる場所。 そういう日々を、私たちはつくっています。
(もちろん、「今日はパパママともっといたい」とお休みする日があっても、それはそれで大切に。 子どもにも、選ぶ権利があるからです。)
AI時代を生きる子どもたちに、私たちができること
OECDも、経産省も、ヘックマンも、ガードナーも、口を揃えて指摘していること。
言われたことを言われたままにやる。ではAiが変えていくこの先の時代ではダメだということ。 これからの時代に必要なのは「自分で考え、選び、行動する力」だということです。 その力は、幼少期の日々のくり返しから育ちます。
- 「いま、何をしたい?」と問われ、
- 自分で選び、
- 夢中になり、
- うまくいかなければ別のものを選び、
- またチャレンジする。
この経験を、何百回、何千回と積み重ねることで、「自分で選び取る力」が育ちます。
それが、AIとともに豊かな未来をつくっていく人間としての強さに、 そして、自分の人生を自分で歩んでいく力になります。
ゆうすい保育園は、その出発点としてお子さまをお預かりできることを、心から願っています。