子どもを預けるということは、
信頼できる場所に出会うこと。
でも、
パンフレットや見学だけでは
わからないことも多いものです。
「自由って、どこまで?」
「先生はどんなふうに関わるの?」
「子どもたちは、どんな言葉をかけてもらっているの?」
そんな疑問に答えるために、
元保育士のさるくま編集長が
ゆうすい保育園の一日を体験してきました。
朝の登園から、日中の活動、
おやつ、そしてお見送りまで。
子どもたちと過ごす一日は、
想像以上に濃くて…!
(正直、ついて行くのがやっとでした。笑)
7時〜9時朝の登園で、私はまず驚いた。
「……あれ?保護者の方、どなた?」
登園の様子を見ながら、本気で迷いました。
スーツ姿でサクッと預けていくお父さん。
抱っことおんぶで2児を抱えてくるママ。
誰も、大きな荷物を持っていない。
え、布団袋は?
着替えは?
水筒は?
(あれ、今日って遠足じゃないよね?)
みんな、手ぶら。
理由はシンプル。
園で全部、必要なものは用意しているから。
オムツも、着替えも、シーツも。
洗濯も園で。
「先生たち、大変じゃないですか?」と聞くと、
「“これ、誰の物?”って管理が減るから、
むしろ楽ですよ」と笑う。
ここで気づいた。
これは、サービスじゃない。
設計だ。
朝の支度。
洗濯。
忘れ物の不安。
そうした小さなストレスを減らすことで、
保護者が子どもと向き合う余裕をつくる。
園での時間だけでなく、
家庭の時間まで支えている。
POINT 01
手ぶら保育は、
家庭の負担を減らす設計。
手ぶら保育は、家庭の負担を減らす設計。
日々の小さな負担が減ることで、
家で過ごす時間にも余裕が生まれる。
やさしさは、仕組みで支えることもできる。
9時〜ついて早々、朝の歌で涙する。
覗いたのは3~5歳児の教室。
春から一年生になる子どもたちが、
元気いっぱいに歌っています。
歌詞カードを見ていた私は、思わずうるっと。
先生が小声で
「編集長、まだ午前中ですよ」
(ですよね。)
子どもたちの声が、まっすぐ届く。
教室の空気まで、ふわっと明るい。
この園の空気、柔らかい。
POINT 02
年齢で
分けすぎない環境。
0~2歳は個別に。
3~5歳は同じ空間で過ごす。
同じ年齢でも、成長のスピードは違う。
比べるのではなく、それぞれの成長を大切にしている。
9時〜11時半遊びの時間。“みんな一緒”じゃない。
朝のお集まりのあと。
元気いっぱいの子どもたちは、
風のように散っていった。
外に行く子。
制作に没頭する子。
みんな一緒じゃなくていいんだ。
飽きたら、切り替えればいい。
でも、放っているわけでもない。
信頼されているからか、
子どもたちはとにかく人懐っこい。
初対面の私にも
「これあげる!」
「一緒にやる?」
距離ゼロ。
(コミュ力、分けてほしい。)
POINT 03
自由=放任
ではない。
危険は止める。
でも、挑戦は奪わない。
小さな選択の積み重ねが、
自分で決める力につながる。
9時〜11時半子どもの「好き」から広がる。
この日、2歳児クラスは初めてのハサミ。
制作は、ダンボールの車づくり。
まあまあ大がかりな課題を選んだ
理由は、シンプル。
このクラス、乗り物好きが多いから。
消防車、パトカー、救急車。
選ぶのも、飾るのも、子どもたち。
1体1でハサミの使い方を教えてる。
教室内は、カオスだけど、
先生は、やり方を教える前に聞く。
「どっちの青にする?」
この何気ない問いかけが、刺さった。
どんなにテンパりそうな状況でも、
大人が正解を先に渡さない。
選ぶ時間をつくる。
これってなかなかできることじゃない。
「どんな挑戦も、好きなことなら、やれるかもしれない」と先生は言う。
年齢や目安を先に決めるのではなく、
興味を出発点にする。
できるかどうかより、
やってみたい気持ちを大切にしている。
(気づけば私も本気で車づくりに参加。)
POINT 04
判断の基準は、
子どもの興味。
「やらせる」ではなく、
「やりたい」を広げる。
11時15分〜13時給食は、バイキング。
自分でよそう。
好きな量を。
そして、卵・牛乳・小麦粉 不使用。
「○○ちゃんだけ別メニュー」がない。
アレルギー対応ではなく、最初から使わない。
疎外感を感じないように。
その子だけ特別にしないように。
理由を聞くと、
「みんなで同じものを食べる安心感って大きいんですよ」と。
たしかに。
“同じ”って、ただの平等じゃない。
安心のベースになる。
※アレルギーに関する記事はこちらから!
POINT 05
“同じものを食べる”
という安心。
園の食事は、すべて小麦粉、牛乳、卵は不使用。
アレルギー対応、ではなく、最初からみんなが同じものを食べられる設計。疎外感を生まず、大切にしたいのは、食のよろこびを分かち合う時間。
12時半〜15時お昼寝は、一律じゃない。
3~5歳は、基本なし。
「え?寝ないの?」
思わず聞いた。
理由はシンプル。
夜、眠れなくなるから。
園の都合ではなく、
家庭の生活リズムを優先。
もちろん、必要な子は寝る。
でも“全員”ではない。
平均的な発達は、参考にしつつ、
向き合うのは、目の前にいるその子。
この園、
“平均”に合わせることを目標にしていない。
POINT 06
お昼寝を、
一律にしない。
体力の個人差が大きいこの時期。
昼寝は、家庭と園で相談しながら
その子の生活を見て決める。
必要な子は、必要な分だけ。
15時〜15時半おやつは、もはや小さな贅沢。
この日は、手搾りみかんゼリー。
房から、手作業で実を取り出している。
思わず
「大晦日ですか?」と二度見。
しかも、みかんの皮をそのまま器に。
風流、きわまりない。
「食器洗いが楽になるので」と笑う先生。
合理的なのか、愛なのか、もう分からない。
農園に勤める保護者からの差し入れを、
子どもたちと味わう。
別の日には、
手搾りジュースでオレンジフロート。
なんて贅沢!
POINT 07
食材を身近に。
オレンジフロートに添えたハーブ。
4種のハーブをちぎる。匂いを嗅ぐ。
「好き」「ちょっと苦手」
正解のない感覚を言葉にする練習。
学ぶより先に、感じる。体験としての食育がある。
写真ログは、“記録”ではない。
ゆうすい保育園では、
1日の活動風景をアプリで届けている。
でも、目的は「報告」ではない。
先生に聞くと、
少し意外な答えが返ってきた。
「写真を撮ることで、知りたいのは、その子の興味です」
カメラを持つと、
自然と観察が始まる。
何に興味を持っているのか。
どんな表情をしているのか。
どこで夢中になるのか。
写真は、
保護者へのサービスではなく、
子ども理解のツール。
記録が目的ではなく、
興味を共有するため。
これは、かなり本質的な試みでは?
POINT 08
写真は、記録ではなく観察。
興味から広げる保育。
まずは言葉にできない興味を汲むことから始まる。
関わる大人が増えると、安心も分散する。
先生も燃え尽きにくい。
“一人の正解”より“みんなの眼差し”。
15時半〜16時おやつの後は、こどもかいぎ。
「午後は、ミーティングがあるんです」
と聞いて先生たちの会議かと思ったら、
子どもたちだった。笑(通称こどもかいぎ)
自然に円になる。
「今日どうだった?」
「明日やりたいことある人?」
手があがる。
3歳も、4歳も、5歳も。
先生はまとめすぎない。
答えを急がない。
この時間、
1日の自由な流れが、きちんと締まる。
自分の口で言う練習。
それが自然にできているから、
伝えることをあきらめない。
うまく言えなくても、
聞いてもらえる安心がある。
その経験が、
子どもたちの自己肯定感につながっていく。
…編集長も、
ここで練習したい。
POINT 09
自分の口で
伝える習慣。
発言する経験。
聴いてもらう安心。
子どもを守る存在としてだけでなく
考える存在として扱う保育。
16時〜お帰り前の、洗濯。
手ぶら保育の理由。
ここで伏線回収を。
シーツも服も、園で洗う。
夕方、干される布を見ながら
元看護師の“ばあば”が言う。
「感染症対策の根幹はここです」
家庭で毎日洗うのは大変。
だったら、園でやる。
その分、園は持ち物管理の手間が減る。
合理性と安心のバランス。
この園、
情緒だけじゃない。
POINT 10
感染症対策は、
仕組みでカバー
リスクはゼロにならない。
でも、やり方は変えられる。
家庭の大変さを、園全体で支える。
…なるほど、そう来たか。
さるくま編集長のまとめ
ゆうすい保育園は、
・ 見守る大人の気持ちに余白がある
・ 保育の設計で家庭を支えている
そして何より、
子どもをひとりの人として信頼している。
手ぶらで登園する朝。
全力で歌う卒園ソング。
好きな色を選ぶ時間。
みんなで同じものを食べる給食。
自分の口で話す「こどもかいぎ」。
夕方に回る洗濯機。
そのひとつひとつが、
子どもたちの心に、
ゆっくりと積み重なっていく。
大人になったとき、
ふと思い出すかもしれない。
あの安心感。
あの空気。
あのぬくもり。
ゆうすい保育園は、
たくさんの“
しあわせの原風景”を
描いている場所でした。
番外編
ゆうすい保育園の1日体験のあと、
どうして先生たちはこんなに自然体なのか、気になりました。
そこで、
子どもを預ける保護者でもあり、
現場で働く保育士でもある濱口先生に
お話を伺いました。
インタビューはこちら
番外編
現役ママ保育士が感じる
ゆうすい保育園の魅力
4歳と2歳を育てながら働く、
濱口千夏先生の場合
“先生らしく”がいらない場所。
「実は、最初は保護者として通っていたんです」
そう話してくれたのは、ゆうすい保育園で働い
て2
年目の濱口千夏先生。
4歳と2歳のお子さんも、この園に通っています。
前職は、一般的な民間の保育園。
一人で多くの子どもを担当する環境の中で、
「もっと一人ひとりを見たい」という思いと、
現実とのギャップに悩んでいたといいます。
「やりたい保育はあるのに、時間も余裕もなくて。
納得のいく関わりができないことが、ずっと
モヤ
モヤしていました」
出産をきっかけに一度現場を離れ、
子どもをゆうすい保育園に預けたことが転機
にな
りました。
「自然の中で育った自分の記憶って、すごく残って
いるんです。
ここはその環境があって、子どもを預けたい
と
思いました」
その後、職員として働くことに。
保護者と保育士、両方の視点を持つ存在です。
「家にいるテンションと、
あまり変わらないんです」
ゆうすい保育園で働いてみて、どうですか?と
尋ねると、
少し笑いながら、こんな言葉が返ってきました。
「いいのか悪いのかわからないんですけど、
家にいるときのテンションと、あまり変わら
ないんです」
特別に“先生らしく”振る舞う必要がない。
子どもと遊ぶ時間も、構えすぎない。
「これまでは、“これをしなきゃ”に追われていま
した。
ここは、みんなで子どもたちの選択を見守
る。
だから、無理に背負いすぎなくていい。
切羽詰まる状況が少ないんです」
それは、人手の余裕だけでなく、
支え合う文化があるから。
「他の先生がフォローしてくれる。
だから、一人ひとりに時間をかけられる。
声かけも、関わりも変わりました」
子どもも、先生も
ありのままの自分と向き合える場所。
濱口先生の言葉の中で、
印象的だったのは
「ありのままに向き合ってもらえる。それがうれ
しい」という言葉でした。
「子どもの個性をそのまま受け止めてくれるん
です。
発達の目安は参考にしながらも、
その子の性格や特徴を大事にしてくれるのが
ありがたくて」
実際に、自身の息子さんにも変化があったとい
います。
「独特な世界観を持っている子なんですが、
ここではそれを“おもしろい”って言ってもら
える。
それまでは、自分の世界で遊ぶことが多かっ
た息子が、
少しずつ友だちを巻き込むようになりまし
た」
あえて子どものクラスには、
入らないようにしてもらっているという濱口先
生。
ほかの保護者と同様に、
保育士さんから聞く成長の声に喜びを感じてい
るそうです。
怒らないのではなく、立ち止まる。
「以前は、感情で怒ってしまうこともありまし
た」
忙しさの中で、自身の子どもたちに対して
つい強い言葉になってしまう。
けれど、ここで働き始めてから、
少しずつ変わったといいます。
「今は、一呼吸置けるようになりました。
感情のまま怒ってないかな?ってセルフ
チェックする。
そんな余裕が生まれたんだと思います」
もちろん危険な場面では、
すぐに止める必要もある。
それでも、そのあとに落ち着く時間をつくる。
その小さな違いが、
子どもとの関係を変えていくと感じています。
「ここだから続けられている」
4歳と2歳の子育てと、保育の仕事。
決して楽な環境ではありません。
それでも、
「ここだから働き続けられている」と話します。
「ここで、保育の楽しさを
改めて感じられました」
地域の人との関わりや、
行事に自然に参加する大人たちの存在も、
この園の大きな支えです。
関わる大人の感情に余白があると、
子どもの心は揺れにくい。
余白があるから、
待てる。
聴ける。
信じられる。
ここは、実家でもなく、家でもない。
それでも、どこか安心できる場所。
濱口先生にとっても、
ゆうすい保育園は
「心の原風景」になりつつあるのかもしれませ
ん。