イヤイヤ期、保育士が現場でやっている5つの声かけ。ーー「ダメ」を使わずに、子どもの心と向き合う方法。
「イヤ!」
「やだ!」
「自分でやる!」
ある日、突然はじまる魔の2歳児ーーいわゆるイヤイヤ期。
朝の支度、ごはん、お着替え、お風呂、寝かしつけ。
あらゆる場面で「イヤ」が炸裂して、ママもパパもクタクタになる時期です。
このページでは、ゆうすい保育園の保育士が現場でやっている5つの声かけを紹介します。
ご家庭でもそのまま使える、シンプルなコツです。
まずは前提:イヤイヤ期は「困ったこと」ではない
声かけのテクニックの前に、ひとつだけお伝えしたいことがあります。
イヤイヤ期は、子どもが「自分」を獲得している証拠です。
これまでママ・パパに全部やってもらっていた子が、
「自分でやりたい」
「自分はこっちがいい」
と、自分の意思を持ち始めた。
つまり、子どもがまっすぐに育っているサイン。
ーーそう思うと、少しだけ気が楽になりませんか?
ゆうすい保育園では、イヤイヤ期を「困らせる時期」ではなく「自分を見つけている時期」として向き合っています。
声かけ①:選択肢を渡す
「靴を履きなさい」
ーーこの言い方だと、子どもは「イヤ」と返したくなります。
代わりに、選択肢にして渡してみてください。
「赤い靴と青い靴、どっち履く?」
「お外行く前に、ジャンパー着る?着ないでいく?」
これは、子どもの「自分で選びたい」気持ちにそのまま応える声かけです。
「やる/やらない」ではなく「AかB」にすると、不思議と「イヤ」が出にくくなります。
ゆうすい保育園では、毎日の活動でも子ども自身に「どうする?」と問う場面をたくさん作っています。
選ぶ経験は、いつか「自分で選び取る力」につながっていきます。
声かけ②:気持ちを言葉にして返す
「もう、なんでイヤなの!」と聞きたくなったとき。
代わりに、子どもの気持ちを言葉にして返してみてください。
「悔しかったんだね」
「もっと遊びたかったんだね」
「ほんとは、自分でやりたかったんだね」
これは、子どもに「わかってもらえた」という感覚を渡す声かけです。
子どもは大人ほど、自分の気持ちを言葉にできません。
だから「イヤ」というひと言に、いろんな感情が詰まっています。
大人が代わりに言葉にしてあげると、子どもは「あ、これがいまの自分の気持ちなんだ」と知ることができます。
ーー実は、これだけで落ち着く子もたくさんいます。
声かけ③:何も言わずに、待つ
ときには、何もしないことが正解の声かけになります。
「イヤ!」と言っている子に、覆いかぶせるように声をかけない。
ーー少しだけ、待つ。
大人がそばにいて、見守っている。
それだけで、子どもは安心して感情を出しきることができます。
イヤイヤの真っ最中に説得しようとしても、ほとんど届きません。
感情の波が引いてから、初めて言葉が入る。
これは、子どもも大人も同じです。
ゆうすい保育園では、「待つ」を大切な保育技術のひとつとして共有しています。
声かけ④:場面を変える
どうしても切り替わらないときは、場面そのものを変えてしまうのも有効です。
「あ、お外でハト見えたよ」
「お風呂に、おもちゃのアヒル泳がせる?」
「先に、絵本ひとつ読もうか」
これは「気を逸らす」というより、子どもの注意を別のものに向け直す声かけです。
子どもは大人より、興味の対象がパッと切り替わります。
その特性を、ちゃんと使ってあげていい。
「逃げ」ではなく、子どもが切り替わるための余白を作ること。
ーーそう捉えると、罪悪感も少なくなります。
声かけ⑤:大人がペースを落とす
最後にーーこれは声かけというより、大人側のあり方の話です。
朝、出かける時間が迫っている。
子どもが靴を履かない。
「早く!」「もう、お母さん(お父さん)行っちゃうよ!」
こういうとき、子どもは「大人の焦り」を全身で受け取っています。
そして、焦っている大人に対して、子どもはますますこわばります。
イヤイヤが、大人の焦りで増幅されていることが、実はとても多い。
ゆうすい保育園の保育士も、そんなときは意識的に深呼吸して、声のトーンを落とすようにしています。
「ゆっくりやろうか」
ーー不思議なくらい、子どもの空気もゆるみます。
「ペースを落とす」は、いちばん難しくて、いちばん効く声かけです。
ご家庭でも、完璧を目指さなくていい
ここまで5つの声かけを紹介してきましたが、
正直に言うと、私たち保育士もいつもうまくいくわけではありません。
大人だって、疲れているときは余裕がない。
「もう!」と言ってしまう日もある。
ーーそれでいい、と思っています。
完璧な親なんて、いません。
完璧な保育士もいません。
うまくいかなかった日があっても、お子さまとの関係は、ぜんぜん壊れません。
5つの声かけは、「あ、こういう手もあったな」くらいに、引き出しに入れておいてください。
そして、できる日に、できる範囲で使ってもらえれば十分です。
ゆうすい保育園の保育観
私たちの保育の根っこには、
子どもを、信じる。
子どもは、自分のペースでちゃんと育つ。
という考えがあります。
イヤイヤ期は、その「自分のペース」を獲得していく時期。
急がせず、抑えつけず、選ばせて、待つ。
ーーこの関わりが、後に「自分で選び取る力」になっていく、と私たちは信じています。
ご相談・見学について
「うちの子のイヤイヤ、こういうときどうしたらいい?」
そんな個別のご相談も、見学のときに気軽にお話しください。
保育士が、お子さまの様子を聞いてご一緒に考えます。